赤ちゃんの発育には、からだだけではなく、心の面や社会性など、いろいろなことが含まれています。特に乳幼児期の赤ちゃんには、母子相互作用が何よりのビタミン。お母さんが話しかけると赤ちゃんがほほえむ。赤ちゃんが泣くとお母さんがあやす。お互いの働きかけ(合図行動)とその反応(反応行動)によって母子関係(母子結合)が結合され、母と子の絆、父と子の絆がつくられていきます。

母子相互作用は、抱っこやおんぶ、お乳をのませたり、散歩したり、ふだんの育児の中でのお母さんのあたたかい肌のぬくもりを通して自然に行われています。新生児の頃から赤ちゃんに注がれるお母さんの愛情や働きかけが母と子の絆を深め人間関係の基礎となる"基本的信頼"形成のもとになります。また、お父さんから赤ちゃんへの直接的な働きかけや、育児に大変なお母さんを勇気づけるという間接的な行為が父と子の絆の根っことなり、親子、夫婦の間に豊かな人間関係が生まれます。それがその後の人生における愛や友情、信頼といった人間性をつくりあげていくのです。
豊かな母子関係がもてると、お母さんは安定した気持ちで赤ちゃんに接することができるので、育児もスムーズにすすみます。お母さんの安定した気持ちが、 赤ちゃんの心身の発達や人格形成によい影響を与えることが、最近の研究で明らかにされています。
子どもに自信や勇気、忍耐、責任感を教えていくのはお父さんの役割。小さいときから、一緒に遊んだりすることで父親としての自覚も生まれ、親子の絆もしっかりと結ばれていきます。お母さんのやわらかい感触とは違うお父さんのたくましいからだに触れることが、勇気や責任感を養う第一歩になるのです。
生後6カ月頃から赤ちゃんはお父さんの存在がわかるようになります。乳幼児期からお父さんと子どもが心を開ける関係を築いておくと、育児の主役がお父さんに移行する児童期から青年期になってもスムーズにコミュニケーションがとれます。
視覚による相互作用
お母さんが赤ちゃんを見つめて愛情を確かめるのはもちろんですが、たとえ新生児でもお母さんに関心をもっています。 まだ十分に発達していない新生児の目も網膜は成人なみに発達。20〜30cmの距離ならかなり見えると考えられています。生後1カ月くらいの乳児でも、機嫌のいい状態のとき、やさしい声をかけながら赤ちゃんのひとみを見つめ、お母さんが顔を動かすと、赤ちゃんのひとみが少しですが、ついて動きます。やさしい心のお母さんと子どもが互いに見つめ合う相互作用は、 "アイ・ツー・アイ・コンタクト"と呼ばれ、すこやかな母子関係を築く基本として重視されています。
触覚による相互作用
お母さんは赤ちゃんのやわらかな肌を、赤ちゃんはお母さんの肌のぬくもりを感じ、 その存在を確かめ合います。 抱いたり、なでたり、ほおずりしたりという何気ない「スキンシップ」がとても大切なのです。
聴覚による相互作用
お母さんは子どもの泣き声や笑い声を聞き、子どもはお母さんの母性的な語りかけや子守歌を聞く。これが声と耳を通しての相互作用です。人間には話し合っているうち、相手の言葉に同調する身ぶりや手ぶり、顔の表情を変化させる「エントレイメント」という現象が見られます。乳児はもちろん、 新生児でも、お母さんの語りかけに「エントレイメント」を示すことが現在までの研究で明らかになっています。育児においてお母さんやまわりの人々の心をこめた語りかけが大切だということが立証されています。
嗅覚による相互作用
お母さんは赤ちゃんの乳くさいにおいを快く感じ、赤ちゃんは生後まもなくから、お母さんと他人との体臭をかぎわけられると考えられます。他のほにゅう動物に比べ嗅覚は弱いとされている人間でも、新生児や乳児では嗅覚による母子相互作用も大きな役割を果たしているといえます。
味覚による相互作用
新生児にもいくつかの味を味わい分けることができ、とくに甘味に対しては好ましい反応を示すことが知られています。母乳は人工栄養の単一な味と比較して、飲みはじめと終わりでは脂肪の量が4倍も多く、その母乳の味が母子相互作用に大きな役割を果たしているといえます。




































