守ってあげたい8つのからだの未熟性

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2.呼吸機能が未熟

赤ちゃんは空気の通り道である気道が狭く、
胸も広がりにくい特徴を持っています。
また、呼吸が浅くて速く、
呼吸を命令する脳も未熟です。
そのため、少しの負担でも
赤ちゃんには影響が大きくなりやすく、
少なくともおすわりができる頃までは
十分な配慮をしてあげることが大切です。

赤ちゃんは腹式呼吸

赤ちゃんは肋骨が水平で、筋肉も弱く、胸を十分にふくらませて呼吸ができないため、おなかで腹式呼吸をしています。また、おっぱいやミルクを飲みながら息をするため、鼻呼吸が中心で口呼吸がうまくできません。鼻水やミルクの逆流などがあると、気道が細いことも加わって息がつまり呼吸が苦しくなりやすい特徴もあります。鼻がつまった状態で、うつ伏せ寝やおなかを圧迫するなど腹式呼吸を妨げる姿勢になると酸素不足の状態になる可能性があります。呼吸がしやすい平らな姿勢で寝かせてあげましょう。

赤ちゃんの呼吸は浅くて速い

生後すぐの赤ちゃんは1回に呼吸できる量が少なく、呼吸数は大人の約2倍。いつも頑張って呼吸しています。また、呼吸を命令する脳の機能が未熟なため、呼吸をおやすみしてしまう無呼吸発作を引き起こし、乳幼児突然死症候群につながることがあるといわれています。その予防のために、うつぶせ寝ではなく呼吸が安定するあおむけ寝が推奨されています。

※ イメージ図、表ともに:岩田ユミ "年齢別呼吸数の正常範囲"『こどもと家族のケア』日総研出版 2019 14(1) p9 もとに作成

酸素飽和度の低下が及ぼす影響

“酸素飽和度”、ちょっと聞きなれない言葉ですが、これは血中の酸素濃度を表し、病院などで赤ちゃんがちゃんと呼吸をしているかどうか確認する指標の1つです。体に酸素が行き渡っていない低酸素状態が体にダメージを与えるのは2つのケースがあります。1つは窒息など、急性に強い低酸素状態におちいるもの、これは救急の処置を行う必要があり場合によっては命に関わることがあります。もう1つは慢性的に軽度の低酸素状態が続くもの。例えば不適切な寝かせ方で気道が狭くなり、酸素飽和度が少し下がっている状態。こういうことが1~2回ある位では体に影響はでませんが、長時間積み重なってくると影響が出る場合があると考えられています。

チャイルドシートと“酸素飽和度の低下” 

1999 年、イス型チャイルドシートに首のすわらない赤ちゃんを座らせると酸素飽和度の低下を招く場合があることが、日本の学会で発表されています。また米国小児科学会においても、イス型のチャイルドシート使用時には、酸素飽和度が低下する症例があることが報告されました。アップリカは、チャイルドシート内においても酸素飽和度の低下の危険性があると考え、生後 6 カ月までは平らな姿勢でチャイルドシートに寝かせてあげることを推奨しています。平らな姿勢で寝かせることにより、赤ちゃんの首やおなかをまっすぐに伸ばし自然な姿勢を保てるので、気道の閉塞が起きにくく、赤ちゃんが呼吸しやすい状態にしてあげられます。また、頸椎や首、腰に負担をかけません。

参考文献:
マーチャント(Merchant)他、アメリカ医学雑誌「PEDIATRICS」 Vol.108 No.3,September 2001.P647~652
永瀬 他、日本小児科学会発行 「Pediatrics International」 2002. 44. P60~63
バス(Bass)他、アメリカ医学雑誌「PEDIATRICS」 Vol.114. September 2004. P805~81