人間の1日の体内時計は、およそ24時間11分。それに対して地球時間は24時間弱。
生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ1日のリズムの体内時計が働いていません。2カ月頃になるとこの体内時計が働き始め、3~4か月頃になると昼夜の自然のリズムや周囲の人の刺激に影響されるようになり、地球時間とのずれを調整できるようになります。そして、2~4カ月頃までの間に急速に夜にまとめて長時間の睡眠をとれるようになります。
ヒトは「朝の光」で1日24時間にリセットします。赤ちゃんも毎朝同じ位の時間に起こして、朝日を浴びる(窓際に寄る、カーテンを開ける)、これが強力な時計合わせのツールになります。赤ちゃんが昼と夜の区別が出来るようにするため、日中は明るいリビングで過ごすのがおススメです。意識して、昼と夜で明るさとにぎやかさの差をつけてあげてください。寝る前30分~1時間は、部屋の照明を薄暗くして、テレビもパソコンもスマホも消して、そのあと寝かしつけるようにしましょう。

新生児期の赤ちゃんは1日12~16時間眠ると言われています。 大人の眠りは脳やからだを休ませることが一番の目的ですが、赤ちゃんの眠りには「脳を創り、育て、守り、機能を進化させる」という役割があります。浅い眠りの中で脳の神経細胞を創り、それをつないで情報のネットワークをつくり、成長に伴い、記憶や認知などの脳機能を育てていきます。そして、それらが元気に働けるように点検・修理・補強しながら急激な環境の変化に対応しているのです。大量の眠りは赤ちゃんの脳の成長発達にかかせない大切な時間です
※ グラフ:三池輝久著『赤ちゃんと体内時計』 集英社,2021,P55図6より
睡眠には「レム睡眠」と呼ばれる浅い眠りと、「ノンレム睡眠」と呼ばれる深い眠りがあります。 この周期が大人は90~100分位ですが、生後1カ月位までだと40~50分位といわれています。1歳位まではまだこのレムとノンレムのつながりが弱いため、短い時間で目が覚めてしまうことが多いのです。また、幼いほど「レム睡眠」の割合(量)が多く、特に新生児期(生後4週間)は「レム睡眠」が約50%を占め、目を覚ましやすい浅い睡眠が多くなります。
※ 図表:三池輝久・上野有理・小西行郎著『赤ちゃん学で理解する乳児の発達と保育 第1巻 睡眠・食事・生活の基本』中央法規社出版. P10~11から作成さまざまな研究結果から、赤ちゃんの理想的な眠りの条件は下記が目安といわれています。
昔から言われていることですが、「早寝(21時より前)・早起き(7時より前)」が赤ちゃんの心身発達のバランスを保つ、何よりの秘訣です。
・理想の時間帯:夜7時から朝7時の間
・眠りの量:夜の睡眠時間が9~11時間(平均10時間)+ お昼寝(月齢に合わせて目安1~3時間程度)
・眠りの質:①寝る(入眠)時間、起きる(起床)時間が毎日一定している ②夜中に何度も目が覚めない(目が覚めてもすぐに眠りにつく)