大人と違う赤ちゃんの特長ってなに?ー 8つの特性 ー/ ママからもらう”期間限定の免疫力“
赤ちゃんのこと

ママからもらう”期間限定の免疫力“

#大人と違う赤ちゃんの特長ってなに?ー 8つの特性 ー
#免疫

赤ちゃんは外の世界に生まれ出るとき、生後6カ月位まで使える期間限定の「免疫」というお土産をもらいます。この「免疫」とは「疫病(流行病)」から免れるという意味で、病原体から我々を守ってくれる防御システムです。免疫には①進入してきた病原体を食べる、②病原体などの異物を体外に排除するための「抗体」を作る、③感染細胞を殺す、の3つの作用があります。一番重要なのが「免疫グロブリン」と呼ばれている「抗体」を作ること。「抗体」とは、病原体を殺す働きのある物質で、風邪でもはしかでも一度かかればそのたびに体内に抗体ができます。

免疫グロブリンには5種類ありますが、お母さんからもらえるのは2つ。その1つがIgGで、妊娠中に胎盤を介して赤ちゃんの血液中に運ばれます。これは単一の成分ではなく、お母さんが実際に感染症にかかったり、予防接種によって獲得した様々な感染症に対する抗体の成分を含んでいます。例えば、お母さんがインフルエンザワクチン接種をしていれば、その抗体はIgGで赤ちゃんに受け渡されます。もちろん、お母さんがかかったことのない病気に対しては抗体がありませんので、赤ちゃんに受け渡されることもありません。グラフに示す通り、IgGは出生後だんだんと少なくなり、生後6か月前後でなくなってしまいます。

お母さんからもらえるもうひとつの「免疫グロブリン」がIgAです。分泌型IgAは、病原体やウイルスなどが侵入しやすい消化管粘膜に存在し、重要な役割を担っています。赤ちゃん自身はまだこの分泌型IgAを作ることが出来ないのですが、生後数日間に分泌される「初乳」には、その後分泌される母乳の約3倍のIgAが含まれています。初乳は赤ちゃんをしっかり守ってくれるIgAが高濃度に含まれているので、出生直後から積極的に母乳を飲ませてあげてください。

仁志田博司編『新生児学入門 第5版』第18章 P325 図8−1より 一部改変
お話をお聞きした先生
小児科医自治医科大学附属さいたま小児医療センター 周産期科新生児部門 教授細野 茂春 先生

新生児医療が専門。長年、NICUで新生児の集中治療と退院した赤ちゃんのフォローアップに従事。日本頭蓋健診治療研究会理事。「乳児頭のかたち外来」も担当し、頭の形を心配する親の気持ちに向き合う。