赤ちゃんの発達を考える/ 首すわり前の抱っこひも姿勢
赤ちゃんのこと

首すわり前の抱っこひも姿勢

#赤ちゃんの発達を考える

20年ほど前までは、首がすわる前の赤ちゃんの抱っこひもはヨコに抱く形が主流でした。でも最近は、生後すぐからタテ抱きの抱っこひもを使われている方が圧倒的に多いようです。タテ抱きのタイプを使用すると、お母さんが赤ちゃんを抱っこしていても両手が使いやすいのでニーズが高まっていったのかもしれません。

上のお子さんを保育園の送迎や公園遊びに連れていくとき、まだ首がすわっていない下のお子さんを抱っこひもで抱っこして一緒に連れて行くことも多いと思います。そんなときはどうしても、首すわり前の赤ちゃんを長時間タテに抱っこすることになりがちです。抱っこひもで首すわり前の赤ちゃんをタテ抱っこにしているケースで、からだが硬かったり反りやすかったり、発達に左右差があることを診察することが多くなったと感じています。

人は、姿勢に応じて筋肉や神経を働かせます。赤ちゃんも同じです。
赤ちゃんが立って歩くまでの理想的な発達には、背骨を水平にした姿勢(寝かせた姿勢)に対して体にかかる重力にあらがって動くこと(抗重力運動)がとても大切です。寝た姿勢で目を覚ましている赤ちゃんをじっと見ていると、実はとても忙しく体全体を動かしているのがわかります。赤ちゃんはその動きのなかで、様々なことができるようになっていきます。両手が真ん中で合わさること、両足を同時に引き上げられること、見つめるお母さんとじっと目が合うこと、呼ぶように声を出すことなどです。赤ちゃんがご機嫌に自分の体を動かしているときに、声をかけたり、見つめたりして、いっしょに楽しむ時間をつくるようにしてください。

大人の胸に向かい合わせにして、赤ちゃんをタテ抱きの抱っこひもにいれることは、①垂直な背骨に重力がかかる②赤ちゃんの視界が狭くなる③赤ちゃんの動きを制限する時間になってしまいます。首がすわる前の赤ちゃんはできればヨコ抱っこがおすすめですが、タテに抱っこする場合は、長時間にならないように、どこかで抱っこひもを外して寝かせ、赤ちゃんを開放してあげられるよう配慮してあげてください。もちろん、首が座ったあとも、目が覚めてご機嫌な時間は、床で横になって遊ぶ時間を十分に確保することが大切です。