赤ちゃんの発達を考える/ 小児外来便り その2 「ふれあいタイム」開始の合図も赤ちゃんから
赤ちゃんのこと

小児外来便り その2
「ふれあいタイム」開始の合図も赤ちゃんから

#赤ちゃんの発達を考える

赤ちゃんとの暮らしが始まった日から、毎日毎晩、赤ちゃんのお世話は繰り返され、家事や仕事でお母さんの一日は あっという間に終わってしまいます。小児外来に来られるお母さんたちを見ていると、皆さんとても一生懸命取り組んでいらっしゃるのを実感します。

これまで多くのお母さんたちから、睡眠、授乳、離乳食、夜泣きなどの相談を受けてきて感じたことを、小児外来便り その1 「~してくれない」と思ったらに書きました。ここでは、赤ちゃんからの発信について、もう少し具体的に説明したいと思います。

皆さん、赤ちゃんが眠くてグズっているときは、眠れるようにお世話しますよね。そして、おなかをすかしているときは、おなかを満たすようにお世話しますし、泣いているときは、オムツを換えたり、なぜ泣いているのかを考えながらお世話されているかと思います。

では、赤ちゃんがご機嫌よくしているときは、どうされていますか?

「ちょっと待っててね、今洗濯物をササッと全部干してしまうから・・・。」と考えるお母さんも多いはず。

でも、ここで「赤ちゃんのことは、赤ちゃんが始める」という発想をしてみましょう。赤ちゃんのご機嫌時間が始まったら、洗濯物は後回しにしてください。待ってました!と言わないまでも、赤ちゃんと遊ぶ「ふれあいタイム」が始まる合図です。

何も難しいことはありません。ご機嫌な赤ちゃんを抱っこしたり、ひざに乗せたり、見つめ合ったりしてみましょう。優しい声で歌ったり、赤ちゃんに語り掛けるのもとても素敵です。ご機嫌がよいときに誰かに関わってもらいながら遊ぶことは、赤ちゃんが脳と体を使うので、そのあとぐっすり赤ちゃんが眠ってくれることにもつながります。
月齢が小さいほど、五感のうち視覚触覚を大事にするのがコツです。この二つの感覚は、見つめ合う、触れ合うといったお母さんと赤ちゃんの両方向の感覚であることがポイントです。

赤ちゃんのご機嫌がよい時間は、月齢が早いほど一回一回は驚くほど短く、合計しても一日のうちそんなに長くありません。そして、短い「ふれあいタイム」が何回もあるほうが赤ちゃんにとっては嬉しいのです。

ご機嫌「ふれあいタイム」開始の合図は、その主導権を赤ちゃんに譲ってあげてください。そして、お母さんは家事や仕事、他のことは忘れて、思いっきりその時間を楽しむようにしてください。人生の限られたこの時間を楽しまない理由は、他に見つかりませんし、これを楽しめたら他のお世話もきっとうまくいきやすくなります。

赤ちゃんがご機嫌なときの過ごし方はとても大切です。最近は、多くの相談の対応に遊びの指導を交えることも多くなってきました。その3ではこれについて紹介したいと思います。