赤ちゃんのこと

添い乳(夜間授乳)

#大人と違う赤ちゃんの特長ってなに?ー 8つの特性 ー
#睡眠

夜泣き対策の1つとして、赤ちゃんにおっぱいを含ませて落ち着かせる「添い乳」(夜間覚醒時の授乳)があります。

夜間授乳の背景には、「赤ちゃんが望むのであれば与えるのが愛着形成につながる」、および、「赤ちゃんが空腹のために目が覚めて泣く」という解釈があります。しかし、赤ちゃんは、生後4ヶ月頃にはすでに夜を通して眠りが持続するように成長しており、心身の健康の育成にはこの持続する睡眠が大事な要素であることもわかってきました。夜間の覚醒は睡眠の持続が完成していないためであり、空腹のせいではないということがわかっています。したがって、夜間の覚醒ごとに授乳する習慣が続くと、生後2−3ヶ月まではよく寝ていてくれたのに4ヶ月過ぎから逆に覚醒回数・時間が増えるという、夜間の頻回覚醒の生活リズム(体内時計)が作られることがしばしばあります。赤ちゃんが目を覚ますから再入眠できるように授乳するという愛情が、実は覚醒する度に授乳することにより、赤ちゃんが定期的に目を覚ます体内時計を作る結果となっているのです。

夜泣きが始まり、夜中に何度も泣いて、目を覚ますと保護者も大変で、疲れが取れずゆとりのある子育てにはなりません。赤ちゃんにも保護者にとっても、4ヶ月以降の「添い乳:夜間覚醒時の授乳」はあまりおすすめできません。

できれば、夜にまとまって眠れるように、生後4―6カ月以降は「添い乳」(夜間授乳)はできるだけ控えていくことをおすすめします。夜中に赤ちゃんが目覚めたと感じた時は、極力手をかけず、赤ちゃんが自分で自分の気持ちを整えて再入眠する(self -soothing)を身につける機会を与える辛抱強さが保護者には求められます。すぐに手をかける過敏な対応はかえって赤ちゃんの感覚も過敏にしてしまい、頻回の覚醒反応や長い覚醒につながるので、心身のバランス良い発達に必要な睡眠持続性の成長を邪魔してしまいます。

フランスでは、新生児期を過ぎると、夜は授乳なしで朝まで一人で眠る習慣づけが行われ、夜泣きも少ないと言われています※。フランスの親が育児の常識として体内時計の知識を持ち、赤ちゃんにも「夜は眠りによる脳の成長のための時間であり食事の時間ではない」ことを実践的に教えていくという背景があるようです。関心を持たれた方は本を参考にしてみてください。因みに、アメリカでも生後3ヶ月以降の夜間授乳をやめるように勧められています。

※パメラ・ドラッカーマン著. 「フランスの子どもは夜泣きをしない、パリ発「子育て」の秘密」. 集英社. 2014, 256p