
ハイハイ、いつから?
日々出来ることがどんどん増えて、成長していく赤ちゃん。
首すわりや寝返り、おすわりができるようになると、次はハイハイかしら?と思ってしまうのが親心ですね。
赤ちゃんは生後7~8カ月頃になると、手と足を床につけて進む「ハイハイ」が出現します。「ハイハイ」ができるようになると、興味のあるものに自分から近づいていくことができるようになり、行動範囲はさらに広がります。
■「ハイハイ」の種類
「ハイハイ」には図に示すように色々な種類があります。

ずりばい(腹ばい)
前腕と、おなかや下半身を床につけて移動する

四つんばい(四つ這い)
手のひらと膝を床につけておなかは床につけずに移動する

高ばい
手のひらと、両足を床につけて移動する

背ばい
仰向けのまま足で床を蹴って移動する

シャフリング(いざりばい)
お尻を床につけたまま座って移動する
「ずりばい」、「四つんばい」、「高ばい」は継続的に発達します。つまり、最初は「ずりばい」で移動し、次に「四つんばい」、そして「高ばい」というように、移動の仕方が順に変わっていく例が多く見られます。最も多いのは「ずりばい」と「四つんばい」移動をするケースですが、「ずりばい」で移動していって、そのまま台に手を伸ばしつかまって立ち上がるなど、「四つんばい」や「高ばい」をしない赤ちゃんもいます。また、多くはありませんが、仰向けのまま後頭部を床につけ足で蹴って上方に移動していく「背ばい」をする赤ちゃんや、床にお尻をつけ座ったまま前進する「シャフリング(いざりばい)」をする赤ちゃんもいます。シャフリングをする赤ちゃんは、うつ伏せ姿勢や足を床につけるのを嫌がる傾向があり、歩行獲得までに少し時間を要する場合があります。
■「ハイハイ」の出現時期
赤ちゃんが「ハイハイ」を始める時期は、一般的に生後7~8カ月頃とされていますが、個人差が大きく、早い子もいれば遅い子もいます。令和5年 こども家庭庁の発表によると、生後10~11カ月頃には90%以上の赤ちゃんが「ハイハイ」するようになると報告されています。※1
| 月齢 | ハイハイができる 赤ちゃん |
|---|---|
| 5~6カ月未満 | 6.3% |
| 6~7カ月未満 | 19.5% |
| 7~8カ月未満 | 47.6% |
| 8~9カ月未満 | 67.4% |
| 9~10カ月未満 | 76.9% |
| 10~11カ月未満 | 91.0% |
| 11~12カ月未満 | 99.3% |
| 1年0~1カ月未満 | 99.0% |
| 1年1~2カ月未満 | 98.7% |
| 1年2~3カ月未満 | 100.0% |
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/b32105e4-fa26-42eb-97d0-2e5cbaef703a/25a6391e/20241225_policies_boshihoken_r5-nyuuyoujityousa_10.pdf
■「ハイハイ」をすることの意義
赤ちゃんが「ハイハイ」をするようになると、手足を交互に協調的かつ効率的に動かして移動するようになります。「ハイハイ」では、自分の体重を支えながら動いていくので、全身の筋肉を使います。そのため体幹や手足の筋肉、握力などが鍛えられ、物をつまんだり足でふんばってバランスをとることも上手になっていきます。そして、赤ちゃんは「お母さんのそばに行きたい」とか「あのおもちゃを取りたい」という強い気持ちを持って「ハイハイ」をするため、そこから空間認知能力や対象物を探索する能力も高められていくのです。
■「ハイハイ」の練習
「ハイハイ」は、特別に練習しなければいけないわけではありませんが、赤ちゃんがうつ伏せになっている時に、お母さんが声をかけたり好きなおもちゃを前方に置いたりして、赤ちゃんの動きたい気持ちを誘ってみるとよいでしょう。赤ちゃんが自ら体全体を動かして、安全に探索活動ができるような空間を整えてあげることが大切です。
■「ハイハイ」を始めたら
赤ちゃんは何でも手にとって舐めたり、口に入れたりします。また、テーブルの脚に頭をぶつけたり、椅子やベッド、階段から転落したりという可能性もあります。目を離さないのが一番ですが、コンセントカバーをつけたり、クッション性のあるマットを敷いたり、ベビーゲートを設置するなどの安全対策の検討をしましょう。
■なかなか「ハイハイ」をしない、と心配な場合
赤ちゃんの発達には個人差があります。なかには「ハイハイ」をしない赤ちゃんもいるので、赤ちゃんの動きたい気持ちを促してあげながら様子を見てあげるとよいと思います。生後10カ月を過ぎても「ずりばい」をする兆しがなかったり、「ハイハイ」以外の発達においても気になることがある場合は、かかりつけの小児科や子育て支援センター等で専門家に相談する事をお勧めします。
- お話をお聞きした先生
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理学療法士元 杏林大学 保健学部理学療法学科 教授中野 尚子 先生赤ちゃんの姿勢運動発達や行動発達、動作分析を長年にわたって行う。日本赤ちゃん学会評議員。


